散歩のコースでは最も離れた場所のひとつに、神社の
摂社がある森があります。
人気の少ない場所で、縁に腰を下ろして暫らく休んで
から、折り返して街に戻ってくるコースです。
今の時期、特に夕方近くの人気の少ない時には、異様
な体験が出来ます。
神社の周辺一帯がハルゼミの生息地で、このセミたち
の大合唱の中に包み込まれるからです。
静かな、物音一つしない場所で、休息している時などに
この大合唱が始まり、その抑揚に聞き入っていると
神秘的な世界に引き込まれるような気持ちになります。
このセミは、特別な習性を備えていて、一匹がゴーゼー
ゼーと低い声で鳴き出すとその声に唱和して、他の
セミも一斉に鳴き出し、最初のグループが鳴き止むと
次のグループが声高に鳴き、声が静まりだすと、また
別のグループが鳴き始めます。
波が寄せては返すように抑揚が付いた合唱が暫らく
続きます。
15分くらいか、時には30分ほども続くようです。
山手の森の奥にも、幾つかの生息地がありますが、
雰囲気を楽しむには、ここが最高です。
この辺りは、ツクツクボウシの合唱も聞くことが出来ます。
ツクツクボウシはハルゼミと違って、一匹の鳴き始めの
合図で、一斉に鳴き出すのですが、ハルゼミのように
輪唱形式ではなく、全員の大合唱が暫らく続くと、ピタリ
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