ページ

2008年12月15日月曜日

山伏とホラガイ

モネ  花のある花瓶  複製画  10号



奈良県の中央部を東西に流れる吉野川から南へ、

金峯山をスタートして、標高2000mを超える峰々を

渉って熊野本宮への吉野山地の奥駈道は、世界遺産

「紀伊山地の霊場と参詣道」の中心を170Kmにも

及ぶ山岳修験の道場です。

この修験者の多くが山伏であり、また人々は山伏の装束で

修行に励みますが、手から離せないのがホラガイです。

古来、山岳密教の場では、ホラガイは単なる楽器では

なく、専ら通信手段として用いられてきました。

東大寺のお水取りの行事でも練行衆が暗闇の中で

お互いにホラガイを吹いて合図をします。

広くて高低があり、相手の所在がつかみ難い山岳地では

吹く音色の高低や節回しなどで、相手と交信をする

トランシーバーのような役割を果たすものであり、また

呼子のように合図をするためのものであったりと、色々な

大事な要素を備えた道具でもあります。

また山伏が揃って、仏の前で合奏をしたり、吹奏楽団

のマーチングバンドのように行者などの列に加わって

吹奏する楽器的な要素もある素晴らしい古来の道具です。

といって、吹くのにはこれほど難しいものは無いようです。

先ず、普通に吹いても音が出ないし、音が出ても一個

一個が持っている音の性質が貝によって異なります。

大勢の山伏が、音階を合せて合奏するのは、相当の

訓練が必要だろうと思いました。



0 件のコメント: