奈良八重桜といっても奈良で咲いているヤエザクラでは
ありません。
ナラノヤエザクラと名前が付いているヤエザクラです。
桜前線が、本州の北端に到着し、弘前公園では名高い
桜祭りが開かれた23日ごろから、ナラノヤエザクラは
満開を迎えています。
小倉百人一首でお馴染みの伊勢大輔の歌にある
「いにしへの 奈良の都の 八重桜 けふ九重に におい
ぬるかな」で登場するヤエザクラです。
伊勢大輔が奈良の興福寺で咲いているナラノヤエザクラの
一枝を一條天皇に献上したときに詠った歌とされています。
この桜の木がその後、消えてしまい存在しないと思われて
いたのが、1922年に東大寺の塔頭の裏山で咲いている
のが発見され、翌年天然記念物に指定されています。
原株を基に、関係者の長年の非常な努力で増やされて来て、
現在では奈良公園一帯を中心に、可なりの数にまで増えて
毎年多くの人を魅了しています。
オクヤマザクラの変種とされていますが、小振りな八重咲きで
咲き始めは濃い紅色をしていて、開花するに従い薄いピンクに
また、散り際には再び濃いピンクになる色変化も優雅です。
特にこの花が備えている素晴らしさは、淡い黄緑の若葉に
寄り添うように葉陰からのぞく花の清楚さです。
ヤマザクラが咲き始めた3月末から一ヶ月余りの間、次々と
いろいろの種類の桜の花が咲き続けて、ゴールデンウィーク
入りと共に、名残を惜しまれながらナラノヤエザクラは