地球が所属する太陽系は[太陽圏(ヘリオス
フィア)]と呼ばれる荷電粒子の泡に包まれ、
宇宙線などから守られている。
太陽圏は太陽系のはるか遠くまで広がっており、
太陽系の内側からその形状や大きさをとらえる
ことは難しい。
従来、太陽圏は丸みを帯びた先端部分に長い
尾が伸びる彗星のような形状だと考えられてきた。
これまでに太陽圏を直接観測したのは、米航空
宇宙局(NASA)の宇宙探査機[ボイジャー1号]と
[ボイジャー2号]だけだ。
米の大学の研究チームは、これらの観測データ
などをもとに太陽圏の特徴を予測し、2020年
3月に発表した研究論文で、太陽圏の形状が
[しぼんだクロワッサン]であることを示した。
研究チームは、宇宙全体でみられる宇宙ジェット
(天体に降着するプラズマガスの一部が細く
絞られて双方向に吹き出す現象)と同様の
[太陽圏ジェット]が不安定である点に注目した。
その原因について、進めた研究では、太陽系外
から飛来する中性水素粒子が太陽圏の形成に
重要な役割を果たしていることが判明。
計算モデルを用いて中性水素粒子の影響を
調べたところ、中性水素粒子を取り除くと
太陽圏ジェットは極めて安定したが、中性
水素粒子を戻すと曲がりはじめ、中心軸が
揺れはじめた。
このことは、太陽圏ジェットの内部の何かが
非常に不安定になっていることを示している。
理論上は、このような不安定な性質によって
太陽から吹き出す太陽風やジェットに擾乱が
生じ、太陽圏がクロワッサンのような形状に
分裂していると考えられる。
具体的には、中性水素粒子が太陽圏に衝突し、
「レイリー・テイラー不安定性」と呼ばれる
現象を引き起こす。
これは、密度の異なる2つの流体が衝突する際、
軽い流体が重い流体を押すことで生じる不安定性。
天文物理学者は、[太陽圏の形状が北と南に
分裂している理由を初めて明解にした]と評価し、
[銀河宇宙線がどのように地球やその近傍に
入ってくるのかを解明する手がかりになる
かもしれない]と述べている。
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