平山郁夫 楼蘭の月 油絵 10号
イネの刈取りが終わり、畑にも背の高い作物がなくなると
山裾にある田畑には、白菜やダイコンなどの背の低い
野菜たちの緑色ぐらいが目だって、一気に晩秋の雰囲気
が広がってきます。
このような寒々とした広がりの中で、特に目立っている
のがヤマガキなどの紅い実です。
枯れ草色だけが目立つ畑の中に、たわわに実を付けた
木が立っていて、木には農作業に使われた竹などが
立てかけられている風景は、絵画にもしばしば登場する
日本的な情景で出会う人に癒しを与えてくれます。
竹林の艶やかさを失った緑の中からのぞいているカキ
の実も強い印象を与えます。
紅いカキの実を付けた木のある情景は、日本人にとっては
欠かすことの出来ない秋を知る雰囲気を備えています。
今のように食糧が豊富ではなく、子供のオヤツも潤沢で
無い時代には、カキは欠かすことの出来ないオヤツでした。
野原で遊ぶ時には、数あるカキの木の中で、どの木の
実が美味しいとか、甘いとか、また自由に取ることが出る
木と富有柿のようにとってはいけない木などが判っていて
遊びの中にあるものでした。
いまは採る人も無く、鳥たちも余りにも数が多くて、圧倒
されているのか、時折カラスがつついているだけです。
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