2018年9月中旬、ハリケーン「フローレンス」が
米国東部のノースカロライナ州とサウスカロ
ライナ州を襲い、ケープフィアー川の水位が
約12mも上昇し、内陸のカンバーランド郡の
郡庁所在地であるファイエットヴィルは1945年
以来となる最悪の洪水被害に遭った。
ハリケーン通過後、カンバーランド郡を含む
ノースカロライナ州の27郡では直径約2cmも
ある巨大な蚊の「プロソフォラ・シリアタ」が
大量発生し大騒動となった。
この蚊に刺されると、血を1ガロン(約3.8ℓ)も
吸われそうなことから、通称「ガリニッパー」と
呼ばれている巨大蚊だ。
牛の皮をも貫通するほどの針(小顎)を備えて
いるため、ヒトが刺されると肌のかなり深い
ところまで針を突き刺すため、燃えるような
痛みを感じるという。
このガリニッパーは、米南東部全域で少数が
見つかるが、もともとはミシシッピ・デルタの
沼沢地に生息していた種とされている。
一般の蚊は、殺虫剤と人口密集地における
人間による土地開発の影響で、小型化して
繁殖ペースを速めて生き残って来たが、ガリ
ニッパーは違う道を選んだ。
巨大なメスは、低地の草原に大量の卵を産む。
ほとんどの卵は干上がって1~2年で死滅する。
しかし大雨が降ると、生き残っている卵が
すぐに孵化して大発生するのだ。
干上がっている草地で、次の洪水発生に備えて
時を待ち、洪水と共に次の世代へつなぐ。
温暖化の影響で、洪水の頻度が増えれば、
ガリニッパーは毎年でも人を襲うことになる。
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